牧之原の深蒸し茶 無量寿
★ 2015 被覆深蒸し茶「無量寿」 新茶 5月10日以降
光寿無量
「無量寿」は「無量光」(光寿無量・・)と同様、阿弥陀如来のはたらきのひとつです。
古くから阿弥陀如来の別名として親しまれています。
牧之原
相良町と榛原町が合併して牧之原市となりました。
室町前期の遠江は、斯波氏を守護職とし、在地国人衆の仏門宗旨感は特に阿弥陀仏を御本尊とする「時宗」系を庇護する傾向にありました(勝間田氏、横地氏)。
その後今川、武田、徳川の時代と変遷し寺院とその流れは衰退していきましたが、今もなお阿弥陀如来の恩恵ともいえるその暖かい光は牧之原を包み込み、育まれた茶葉は私たちの健康に優れた効果を顕してその恵みをもたらしています。
「牧」の原野から茶園への開拓
幕末に15代将軍徳川慶喜の護衛として結成された「精鋭隊」(のちに「新番組」)の中條景昭らに呼応して坂本龍馬を斬ったといわれる今井信郎をはじめ多くの浪士たちが駿府に集結しました。
その後彼らは武士の身分を捨て帰農し、牧之原台地の開墾のために入植しました。
「牧」の原野を一から開墾した彼らの艱難辛苦が現在の静岡製茶産業の始まりです(初倉の大井川をバックに建つ中條景昭像)。
健康寿命日本一を誇る
駿遠地区
健康寿命とは「長生きの質」(日常生活を制限無く生きる)を表す言葉です。
平成22年に厚 労省が初めて出した健康寿命年齢は静岡県が73.53歳で全国1位(女性1位 男性2位) でした。これは当地の温暖な気候と、日頃から緑茶を飲む習慣が生活の中に浸透して いることが考えられます。~牧之原市は日本茶の出荷量、消費量ともに日本で一番です。
大澤寺婦人部では2011年NHK「ためしてガッテン」にて「深蒸し茶」の健康効用を解説した 御前崎病院内科医の鮫島庸一先生をお招きして講演会を開くなど、多くの方にお茶を飲む機会をさらに広げていただこうと努めています。
温暖な気候と海風
茶の旨みは生育した場所によって微妙な違いがあります。特に牧之原茶がおいしいのは太平洋に突き出た地形と遠州灘に比べて穏やかな釘ケ浦(くぎがうら―駿河湾)から台地に駆け上がる海風に包まれていることがあげられます。
牧之原台地は同じ駿遠にあって特に日照と温暖さに恵まれた地であると言えましょう。
報恩感謝のお茶
深蒸し茶「無量寿」は「御仏供さま」お下がりです。
御本尊前にお供えし引き下げたのち、御提供いたします。
わたしどもの提案する「無量寿」は牧之原台地とその周辺に広がる茶園で育てられた茶葉を使用しています。
駿河発祥の「やぶきた」種の生茶葉から煎茶へ精製する工程の「蒸し」の時間を長めにとります。
深蒸し茶の製法は牧之原周辺で初めて確立しました。
通常の煎茶が10秒~1分の蒸し時間に対して、「深蒸し」は1分~3分程度となりますがそれぞれその蒸し時間の違いが同産地同時期で微妙に味の違う茶が出来る由縁です。
また、収穫直前のあるタイミングで直射日光を抑える作業を行います。
日光を遮蔽して光合成を弱めることが目的です。
遮蔽の時期、遮蔽率、遮蔽時間等も味覚の違いとなりますがその工程を追加することによってやわらかくコクのある味に仕上がります。
深蒸し茶は乾燥工程や茶揉み前の蒸しの工程を長く取ることによって、茶葉の細胞がほぐれて成分が出やすくなります。
そのことから以前から言われている「茶の良し悪し」の一つ、景姿の良さ=「針状の容姿」へのこだわりを捨てています(蒸しの時間が長い故にその姿が保ちにくくなってしまいます)。
そして茶は収穫してからの精製開始までのスピード感はその品質を左右します。
無量寿はそれらのバラつきを抑えるよう管理されたシステムのうちに生産された茶葉を使用しています。
ペットボトル製のお茶がもて囃される時代です。
茶葉は急須等の茶器で淹れるなどのひと手間がありますが、おいしいお茶を嗜むための手数やその時間を楽しむ「余裕」に重きを置く日々の過ごし方こそ現代社会の繁忙に住む皆様にお奨めしたいところです。
お茶のいれ方は、石田三成の三献の茶のエピソードにヒントがあります。
三成が秀吉に仕えた際の今でいう「おもてなし」の心です。
「武将感状記」に
『三成はある寺の童子也。 秀吉一日放鷹に出て喉乾く。 その寺に至りて 《たれかある 茶を点じてくれ》と所望せり』
石田、大なる茶碗にて七、八分ぬるくたてて持ち参る。
秀吉 是を飲み舌を鳴らし、気味よし 今一服とあれば、またたてて之を捧ぐ。 前より少し熱くして茶碗半ばに足らず。
秀吉之を飲み、また誠に一服とある時、石田此の度は小茶碗に少し許りなるほど熱くたてて出る。秀吉之を飲む。その気はたらきを感じ住持に乞い、近侍に使うに才あり。 次第に取立て奉行職を授けられぬ。』
とありました。
私たちはお茶と言えば以前からお寿司屋の「熱いお茶」というイメージが定着していますが、本当においしい日本の緑茶は熱湯ではいれないものです。
コーヒーや紅茶とはそのいれる温度が違います。
最適な温度とは約80℃以下といわれています。
三成が秀吉に差し出した三度の茶の温度も「熱湯」というイメージは無いですね。
ただし水道水には塩素が含まれていますので、まず沸騰させてから「湯を冷ます」という工程は必要です。
熱湯でいれれば茶葉からはうまみより渋み(カテキン)が際立つばかりとなってしまって折角の味わいも色も台無しになってしまいます。
日常でのその最適温度でのお茶作法は案外面倒なものです。また、「熱いお茶」に慣れている口には、旨味が一番出るという50℃では「ぬるくてたえられない」という方もおられると思います。
牧之原の深蒸し茶「無量寿」はその温度について「熱湯」は論外ではありますが、90℃程度くらいの温度であってもおいしくいただくことができるお茶です。
それでいて夏季等冷たいお茶をいれたい場合でも0℃の氷水で左図のような翡翠状の発色をし、味覚も存分に抽出することができます。
熱いお茶もそうですが、使用する水によって緑茶の出方は違ってきますので、ミネラル分の入らない軟水(本州の水道水)の使用と塩素の除去がより美味しいお茶をいれるためのポイントとなります。
茶の十徳
「喫茶養生記」を記した日本におけるお茶の祖と呼ばれる栄西禅師ですが栂尾高山寺の明恵上人が下記の如くお茶の効用を記しています。
まさに緑茶の健康長寿の効用たる由縁が記されています。
①「諸天加護」 茶の生命力にあやかる
②「無病息災」 養生の仙薬、効用は色々
③「父母孝養」 感謝の心
④「朋友和合」 お茶する卓を囲んでの語らい
⑤「悪魔降伏」 惑い迷いの心は退散
⑥「正心修身」 その道は心身修養の効
⑦「睡眠自除」 カフェインの効果は眠気予防
⑧「煩悩消滅」 晴れ晴れしい気分は雑念を払う
⑨「五臓調和」 内臓諸器官への好影響
⑩「臨終不乱」 その時に臨むにあたり心を乱さない
エピガロカテキンの効果
無量寿茶「氷水出し茶」のすすめ
お湯だしのお茶にはその効能と美味しさがあります。
しかし夏は「氷水出し」というお茶の楽しみ方を併用して熱中症、脱水症状から体を守りましょう。
最近になってその効果が注目されているのがエピガロカテキンです。抗酸化作用があることで最近知られるようになりました。この緑茶からの恵み(紅茶等にはありません)はいわゆる抗癌作用、抗ウィルス等に不可欠な白血球の一種「マクロファージ」(食細胞)の働きを活性化させるといいます。
従来のお湯だしによって得られるカテキンは渋みと旨味を併せ持つ健康成分で特に脂肪燃焼効果等が囃されているようです。ところがお湯だしの場合、もう一つの健康成分である「エピガロカテキン」の効能を「カテキン」が抑えてしまいます。
そこで水出しにすると逆にカテキンを抑えて「エピガロカテキン」が抽出されてその効果が期待できるという研究結果が出ています。
その分従来のカテキンは抑えられますが、同時にカフェインの抽出も抑えますので、子供や年配者、眠りにつきにくい病気療養の方も気軽にとることができます。
無量寿は深蒸し茶葉のため、氷水出しであっても成分が出やすくなっています。
もし従来のカテキンの旨味をお楽しみいただきたいという方は水出しで出した残りの茶葉をお湯で淹れることもできます。
氷水出し茶の作り方は氷水を湯の代わりに注ぐだけ、お湯で淹れるお茶にありがちな温度等の管理はまったく無視してかまいません。氷水を注いで3分~5分待ちます。
私の場合は3分すら待てませんので途中でスプーンで撹拌しています。アバウトで気軽にごくごく飲める健康飲料です。
1名分/軽くスプーン2杯が目安(2.5g~3g)ですが、お好みに応じて増減してください。
※水出し茶の保存についてできるだけ早めに使用すること、そして一旦水で浸した茶葉を時間を置いて使用することはお避けください。