先日、雨続きの日々がようやく過ぎたその翌日の晴天に「そろそろどうでしょう?」とのある依頼の打診がありました。
それなら「午後一番に現地で」ということで話がまとまりました。
「墓じまい」の件です。
某家ご一統7~8件の集合墓地のうち一基を墓じまいしたのち拙寺の「一處墓」への納骨の依頼を承っていました。
これまで「いつでもいいですが暖かくなってお天気の日に仕舞いましょう」と超曖昧な返答をしていました。
前回それを承諾した時からそれを主導していた3人の姉妹(実家継承者不在・・・)のうち既に一名が逝去されたといい、「何しろ早く早く」の気持ちが表れていました。前回は私の所要と重なってお断りしていましたから私も申し訳ない思いでいましたので。
半年以上前に初めてそちらの墓地を拝見した際は墓石の撤去も検討されていましたので、石屋さんを同行して下見、撤去処分の見積もりを出してもらっていました。
すると金銭的事情により墓石は撤去せず、とりあえず放置。
中にある遺骨(骨壺のままでした)を回収して欲しいとのこと。
姉妹たちは各嫁入りし、本家に継承する男子が亡くなった今、その始末をつけるというものでしたが、どなたも高齢者、金銭的余裕は無かったよう。
尚、一統親類のみの墓域ですので、墓石が残ってもさして問題はないとのことでした。
その際の当家奥方は「墓石屋の女房」。先日は火葬場へのご遺体の搬送運転手をしていましたので早変わり。
当該墓石、どういうワケか前回カンタンに開いた納骨室の石扉がガッチリとシリコンで接着されていました。
殆どの道具類は軽トラから降ろしていましたのでまともな道具は無し。よって唖然。
接着個所はシリコンです。私は「親切な親類の方がガッチリと留めてくれたのでしょう・・・」と落胆半ば諦め。念のため軽トラのダッシュボードの中を覗きに行きました。カッターの1つでも・・・と。
先ずカッターの有無は第一義。
墓石の接着、最近の耐震を意図するものは別ですが納骨室の入口の石材接着にシリコンを使用することは「まずない」からです。
通常そちらはセメントでの施工か何もしないかが殆どですね。
要はシリコンでの接着はプロの仕事ではないということです。
ちなみにセメントであればソフトハンマー等で石を少々叩けばカンタンに壊れて外すことができます。
よってシリコン接着の場合の道具はカッター。墓じまいのお勤め後その存在を一応確認に戻りました。
その一番必要な文房具が不思議なことにダッシュボードに・・・
喜び勇んで奥方にマイナスドライバーとともに手渡しました。
まさに奇跡としか言いようがなし。
20分程度の奥方の奮闘後、納骨室は無事オープンでき私も衣を脱いで今度は墓石屋として遺骨を取り出しました。
結露によって骨壺内は水浸し。
「1カ月くらい経て(乾かして)納骨法要を」と遺骨たちを引き取りました。
これで施主さんたちの気持ちは落ち着いたことでしょう。
扨、昨日記した拙寺本堂の時太鼓の件、何気なく手元にあった
相良城の図を眺めていると、その櫓(矢倉)推定位置として長谷川氏が指摘していた「白い□ 」(昨日)の脇にしっかりと「タイコヤグラ」と明記されていました。
絵図は天保五年、森町の山中豊平筆相良城図です。
一昨日は史料館にその件で駆け込んだのでしたが実は手元にこの絵図があったというオチでした。
ただし、思い付きで私が騒ぎ出さなくてはこれは気が付かなかったかも。
おかげさまで意義ある発見ができました。
相良城二ノ丸、門を入ってすぐ、堀脇にあった「タイコヤグラ」。
「相良城二ノ丸御門 太鼓矢倉の刻太鼓」これでどうでしょう。
すると奥方から「長すぎる・・・」。
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