玉虫の厨子のあの羽は・・・後世誰かが 理解不能だらけ

一昨日の奈良の青空ほどではありませんが昨日もイイお天気が続いて、気持ちよく撤去された会館跡の墓地側の草取りを行いました。

ハランという緑濃い大きな葉の植物。個人的に言ってやたらと密集して増えるなど好みでもなく厄介な植物です。

 

それを除去するのは見栄えの件もありますがその裏に控える槙の背の低いものを2本ばかり除去する予定があるからです。

しかし思わず手こずりました。

それがコンクリのガラの上に密集していたからでスコップが思うように通らなかったのでした。

 

おそらくそのガラは会館が作られた際、その以前に建っていた建屋の残材でしょう。

ガラをそのまま「埋めて処理」の方法は安直で経費はかかりませんから。質の悪い仕事です。

南側墓地でも同様の事はありましたが、一昔前といえばその手のことが平然と行われていたのでしょうね。

それではネコのババ隠しと同様。

ただし石塊となれば限りなく長期に渡って残りますから困りものです。

あとから片付ける者の事も考えてくださいな・・・とは思うもののそれをやる人は「知ったこっちゃあない」でしょうね。

基本「他人の家、土地」ですから。

すべてにおいて責任とは「自分の物、事と同様に扱うこと」なのですが。

 

こちらに建屋があっていろいろな人が住まったということは聞いていて私の幼き頃の記憶にそれが僅かながら残っています。

 

そちらのガランとした空間を前にして、どうしても腑に落ちない箇所がありました。

それがなぜか門内境内側の地上部に露出したままになっている水道管。

水道管といえば工事前に水道屋さんを呼んで栓を増設してもらい止めましたがそれは門の外側にあります。大きな水道管は北側の道路の下を通っています。

 

私は庫裏の裏の止水バルブで水が止まること、庫裏から門前に繋がる水道管を以前見た覚えがあったため門の外側に「水道管がストレートに来ているはず」と水道屋さんに伝えて何とか掘り起こしてもらったのですが、門内に水道管がある理由が不明でした。

実はその「ストレートに」というのは私の錯覚ということがわかりました。

門内に露出した水道管について「昔の名残」と勝手に思いその時たまたま手にしていたツルハシで引き抜きました。邪魔でしたからね。

すると水が土の中から溢れ出てきました。最初は残りの水でも・・・と思っていればまったくその意に反しその穴からはこんこんと水が湧き出てきます。

要は水道管は完全に生きていたワケで、止水新設のバルブのある水道管の元だったのでした。

庫裏から会館への配水は想像を超えてわざわざと門の内側に振ってから通路の下を通し再び門の外に廻すという理解不能の工事。

まぁ「余計なことをやらかして・・・」(奥方)昨日は庭師から水道屋に変更。

 

 

掘り起こせば塩ビパイプから水道管がジョイントされていてそれも意味不明ながら「やっつけ工事には好都合」とばかりに鋸で塩ビパイプを切断しました。上部が金属の水道管でしたから覚悟をしていましたがそれだともっと厄介でしたね。

 

奥方に「何分我慢すれば・・・?」と言われましたが「15分ほど水屋にはりついていて『ごめんなさい』して・・・」と塩ビ製エンドキャップ(70円程度)を購入に走りました。

私どもが使用する以前にお参りには水が必需ですからね。

まぁその間どなたもお参りはありませんでした。

 

さて、昨日は聖徳太子展の玉虫について記しました。

その玉虫の色具合についてはあの時の年配のクレーマーさんと同様どなたでもそれは気になるところではないでしょうか。

 

位置としては厨子の上部の屋根の下ですがそれほどムキになって見るべきものではないものかも知れません。

そのキレイな羽は後世どなたかの手によって「差し込まれた」ものといいます。

「羽そのもの」がわかりますがその方の「遊び心?」からどうこう心を囚われている現代人がいるのかも。

昨日は「殆ど剥落」という表現をしましたが、あの手のものが本当に遺っているのならばそう考えるべきですからね。他にもその「差し込み」はもっとあったはずでしょうし。

 

ところが実際の羽は案外残存しているようで・・・、羽を切り揃えるなどの加工と漆などの接着そして経年により判別ができなくなったというのが最近の考え方になります。

上部の飾り装飾からまず剥がし取って詳細検討するワケにはいきませんからね。

 

私は子供のころその厨子の存在を知って、その文化的重要度よりも、玉虫の方に気の毒を思ったものでした。

玉虫のキレイさはわかりますがあの虫の羽は膨大な量(4500匹とも)になりますからね。

そもそもそれだけの数をどうやって集めるのでしょう。

そして玉虫からすれば大量虐殺。

仏法を説くはずの厨子が殺生(犠牲の許諾)で飾るなんて・・・

 

外で作業することが多い私ですがその玉虫など数年に1度見かけるかどうかの出会いの確率ですし。

まぁこの遺物に関して、それで装飾してやろうとする感覚は私には理解不能。他についてはすべてが素晴らしいのですが。

 

⑥は厨子の正面に安置される観音菩薩。

⑦は東院夢殿の救世観音像。以前は絶対秘仏。

聖徳太子観音菩薩の化身のそれ・・・誰も見てはイケないもの。

それだけでもいい時代になりました。