先般「報恩講 日中」が終了しての片付け中、某檀家さんのお婆さんが訪れて私と目が合いました。
「私は〇〇ですが・・・わかりますか?」と少々元気なく言われます。
勿論、ずっとお世話になってお付き合いしている方です。
よって私も明るく「知ってますよぉ~」と返しました。
すると「知ってたのぉ? 最近物忘れがひどくて・・・ところで今日は何かあったの?」と。
何となく歩いていたらお寺に来ていたとのことですがこれまで報恩講といえば真っ先に本堂内に陣取っていた方ですからね。
「時間の経過」はどうにもなることではないだけに切ないことです。
「老化の無常」なのでしょうがそれを今は「認知症」といいますね。
「長生き」についてそれが何歳以上かといえば、余り欲張らない数字「80歳以上」(実際はもっと・・・現代の医療発達の恩恵の下にいる我々からは少々ハードルが低そうな数字とは思われますが)、として2025年には、認知症患者が全国で700万人、65歳以上の5人に1人が認知症が発症しているといいます。
ということは65歳で認知症の症状が出てそれから「ご長寿」の勲章を得るまでかなり自身も周囲も「切ない」人生を送らなくてはならないということです。
その5人に1人の括りからは是非に逃れてうまいこと一生をハッキリ楽しくハッピーに送りたいというのが人情というものですが、そうはいきそうもないということは漠然と・・・。
その認知症の初期症状ですが、ちょっとした傾向があってそれに周囲が気づくことによってある程度の修正をさせること、進行を遅らせることが可能だといいます。
それが「特定の言動のパターン」(原田文植医師)だといいそのことが症状の進行を早くする傾向があるそうです。
「言動」とはその人がよく口にする言葉(口癖)で、今の「わたし」についてのネガティブ体調、気分について語っる人だといいます。
それが「最近物忘れがひどくなっちゃって・・・」ですね。
境内で会うその方はいつも会う人会う人にその言葉を挨拶の如く使用していました。
また他に「面倒くさい」「別にイイ」風の語も認知症状としてよく使われるそうですが、そういえば私も「面倒だしまぁいいか・・・」などしばしばのスタンスではありました。
日頃からポジティブな言い回しを心がけることは「言葉」としても大切のようです。
自身承認を毎度言葉にして言い聞かせしているのですから・・・また、私は最近になって「頭が腰が・・・肘が肩が膝が・・・と痛いところばかりを口にしだしました。痛いのは事実ですがそれを口にして繰り返し吐き散らしているのはやはり病的症状に陥れるきっかけになっているような気がします。
よし行くぞ さっさとやっつける おもしろい おかしい
なんとかなる (テレビのアホな政治家に)バカ野郎・・・の
ガハハハッ的イケイケどんどんの超ポジティブ「口癖」がイイのでしょうね。
ネガティブ口癖の人を見かけたらその件指摘して、修正していただきましょう。
「言」は多ければ多いほどいいのです。癖のように同じフレーズを言い出してもダメ。
さて東京国立の正倉院展で一番人気の人だかりといえば「螺鈿紫檀五弦琵琶」。勿論あの「国家珍宝帳」に記載がある世界で唯一現存する五弦琵琶です。
以前、僧俗研修会で琵琶の演奏を目の前で見ましたが、そちらは四弦の曲頚琵琶。
五弦は「頚」がまっすぐというところがハッキリした形状の違いですが、その名の通り弦が五本ということで演奏も難しかったようです。
「弦」の方は1本余計にあるかないかで雲泥の差。何せ世界に一つ。
経年による劣化は修理によって復元されていてその威容は素晴らしいの一言。世界に「二つとない」ものを拝見できてそれだけで満足ですね。
係員の「立ち止まるな 進め」は「そう急かすなよ」ですが。
楽器としてあるのだから弾いてみたい、音を聞いてみたいというのも人情。そこで復元されているものがあります。
要はコピーがあるということ。
よってそれを「復元 螺鈿紫檀五弦琵琶」という風に命名されそちらも展示されていました。そして明るい場所に展示されていて写真撮影もOK。
ただしスマホカメラをガラスケースに近づけたりすると係員がすっ飛んできます。
ガラスに接触させるな、との仰せでした。
こちらとしてはガラス反射が撮り込まれるのが嫌で近づくのですがね。
コメントをお書きください