土蔵のすべての瓦を下ろし終わって屋根の上で屋根土まで下ろせないか算段していると檀家さんが様子うかがいに声をかけてきました。
今回の工事の親方として任せている方ですが「今、屋根屋(瓦屋とブリキ・トタン職人)はどこも居ないよ」と。
「みんな御前崎に行っちゃっている」とのこと。
台風24号の被害で補修依頼の引手が数多ということですが忙しいことはイイことだとは言えない現象ですね。
浜松地区ではまだ停電が続いている場所があります。台風被災とはいえ前代未聞でしょう。オール電化が流行っていますがツブシが効かないことが大いにわかりました。
絶対にありえないと拙寺では不採用です。
ちなみに屋根土は境内南側境界線に積んだらどうか・・・とひらめいたからです。
さて、先日記した大竹蒋塘(おおたけ しょうとう)の書、拙寺の家訓と勝手に決めつけたものですが
「断送一生棋局裏 破除万事酒杯中 ― 蒋塘漁者」について、叔父に「棋局裏」でなくて「棋局里」、要は「裏でなくて里」がもともとは正解なのでは?という質問をしました。
それは中国系の某サイトにその詩文が掲載されているのを見つけて、そちらが「棋局里」だったからでした。
それというのも先日芸能人女性の飲酒運転による事故の画像を嫌と言うほど見せつけられ、やっぱり「酒は身を滅ぼすもの」は紛れもない事実であることを確認したからです。
まぁそういう人に限って「自分を信じて」などキレイごとを宣っていることはだいたい予想できますが。
すると叔父は今の日本人は「訓読み脳」になっているからイカンと。音読みすれば両方とも「り」でそもそもその二つは同族の漢字だとの談。
半信半疑で調べれば「里」の異体字は「裡」(うち)で元字は「裏」とありました。
意味は「うち」「なか」で読みも「うち」でいいだろうとのこと。
叔父は思わず書家の衒学的趣味を感じてニヤリとするところなのだと。「酒杯中」の「中」も「うち」と読ませようとするところも面白がっていました。
古文書に触れていても音読み当て字風はまたぞろですからね。
訓読みで考えない・・・なるほどです。
田圃の土と書いて「里」、わたしが一昨日来遊んだのは屋根の土でした。2日間、カラカラに乾いたその土と下の杉皮にそれらを外気を遮断するように覆う日本瓦のベストコンビネーションを感じました。湿気の多い日本の建築の粋ですね。100年以上の経過がありますが屋根の異常は見当たりませんでした。
当初は屋根を突き抜けて落ちることも考えましたがまったく丈夫でした。ただし相当の重量になりますが。
③④土蔵向かいの会館2階天井隙間から覗く舞鶴殿。
境内が騒がしいとこちらに逃げ込んでしまいます。
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