先日来の春の気配、陽光の下は今年初の半袖シャツ1枚になるなどしばしいい思いをさせていただきました。
ただし各所にてインフルエンザの蔓延ニュースも耳に入ってこれからもしばらくは油断は禁物。
母が世話になっている施設はいくつかのグループに分かれていますが、そのうち1つが「出入り禁止」の御触れ。
聞けば担当介護職員がインフルエンザに罹患したとのことで今ピリピリ状況が進行中です。
週明けから寒波が訪れるとのことで、「来週の東京行きは中止」と早々に。奥方の叔母さんの家のあと片付けはまだ続いています。
年配者を抱えている身としては「転倒・骨折」に加えて、この御時節は風邪・インフルエンザの防御が必要となります。
檀家さんのある方は年末に転倒して骨折、手術にまでになったそうですが「リハビリしてお寺の旅行には行く」と言ってくれたそう。つい嬉しくなって榛原病院まで見舞いに行きたくなりました。
からかいに来ていると思われかねませんし余計なお世話の部分もありますのでその件、思案中です。
余計なお世話というかおっちょこちょい振りを発したのは昨日も。
地元でも名のある軸装水墨画コレクターだったお祖父さんを持つお宅の代物を拝見したのは昨年の事でした。
全国区で超有名画家の作品と地元の渡辺崋山の弟子(崋山の弟子たちは何故か遠州人多し)等の軸を見た際、真贋について「どうでしょう?」と問われました。
私には真贋どころかそれらを比較評価できる目を持ち合わせていませんので冗談で「鑑定団に・・・」などという話も出しましたが取り敢えず、そちら方面に見識のあるH氏に声掛けしていました。
すると県の某所学芸員の方を紹介いただくと先方からも「是非」との回答を戴いて相良までご足労いただきました。
ということで二人の学芸員を引き連れてそのご自宅へ押しかけた次第です。
真贋についてはともかくも私は二人の会話の中にまったく付いて行けず、その世界の深さをあらためて実感させられました。
彼らの仕事としては潜在的に民間に散在する資料を確認し、そのデータを持ち帰って時間をかけて検証に入るというのが手筈ですからそのような下世話な(真贋を問う)質問をイキナリすることは失礼千万なことです。
しかし持ち主として知りたいところといえばそれのみと言ってもいいので、本来的な「目的」が微妙に違うことは承知の上「どう?」とつい横槍を入れてうざったくその意見を引き出そうとしている私がありました。
とにかく「金魚の糞」として付いてきた私でしたが、午前中3時間以上に渡って、そのたくさんの資料を拝見させていただきまた多くの知識を得ることができました。
とにかく贋作多数の中その世界の専門知識があってこその判断ができようというもの。
単純に言えば絵に矛盾が有るか無いかの消去法しかないのでしょう。他の真筆から比較することは大切ですし何よりも画家生涯の作風が頭に入っていなければ答えはでてきませんね。
それでいて専門分野を少し外れると、たとえばこの地域に多数残りまた贋作も多く残るという「山岡鉄舟」の軸に関しては「まったく自信がない」ともその研究員は仰っていました。
私の思いでは「鉄舟」は相良に滞留していた事は事実ですし(布施石油)このお宅の襖絵(襖絵から軸装)に鉄舟がスポンサーを求めて書を記したことは大いに考えられます。
江川坦庵の軸なども同じ韮山出自の柏木俊一の鑑定書まで付いていました。
ただしその「鑑定書」というものが今の感覚の信憑性というところからは少々離れていますのでストレートには信じられないところがあるのです。
以前も記しましたが史蹟や歴史を研究し、ある程度(地区歴史家程度)の名前があるもの、そして画家などもよく謝礼の幾らかで「コレは真筆です」の切紙1枚を記したという話もまたぞろのようです。
このお宅で聞いて「やっぱりね」と思ったのは以前地元の歴史家に貸し出した史料が「未だ返却されていない」と仰っていましたがその方のそういった件、ここやかしこで耳にします。
私は言葉が悪いのですが半分呆れた行状と辟易となって、それを「死に待ちという」とぶっちゃけました。
借りっぱなしにして忘れられるのを待つという方法で、当人に指摘されたら「忘れてました」で済まし、亡くなってしまったら腹の中で舌を出して自分のモノにしてしまうという方法。
骨董品の貸し借りでもよく聞く話。
博物館や教育機関、「まともな方」は貸し出しの依頼をする時は必ず借用書と返却予定日を告知してくれます。まあ個人では借りに来られないでしょう。
海千山千またぞろのこの世界、学術よりも趣味とカネにまつわる件に走る御仁も存在することはくれぐれもお忘れなく。
画像は鉄舟の御軸。以前私が撮影したもので解読不能。
折角4本並べられて出されていましたが今回はその見学はパスとのこと。
「それでは鉄舟は撤収です!!」とダジャレを言って苦笑いさせるのみのお邪魔虫でした。
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