このお寺の法務に就いてつくづく思う事があります。
当家にお酒を嗜む習慣が無くて良かったと。
秋田県の豪雨で県下に避難準備やら勧告が出まくっている中、秋田の殿様(佐竹知事)が豪雨対策の緊急会議を欠席したことから波紋が広がっています。
まぁ欠席の理由の中に嘘が混じっていたことからいろいろ不信を買ってしまったのですが、当初「仕事のあと飲んじゃった」と飲酒をその理由にしていたことはテレビにて拝見していました。
それを見て、「全くフツーの事由」を思いました。
私も昔から友人などに夕刻以降に何かのお誘いをした場合よくそのフレーズは聞いていましたので耳慣れています。
その場合「それじゃあしょうがないね」と強いお誘いは憚られます。そういうものなのです。
ということで社会人の世界では行きたくない何かの招聘に対してもそのフレーズはお断りサインとして有効に機能しているものと承知しています。
休みの日、仕事が終われば「一杯やる」ことなど今や当たり前のことでしょう。何らの咎も受けることはありません。
ただしその後バレちゃったウソ(#私用のゴルフツアーなのに「出張」と言っちゃった #部長クラスも同伴していたのに一人と言っちゃった)以前に、その一般的なフレーズを殿様(佐竹家頭首)の口から出て来るとは思いもしませんでした。
まるで「酒を飲んだから仕方ないだろ」と言わんがばかりで、殿様ともあろう人がもっと違う理由が考えられないものかとも思います。「察しなさい」というが如くのそのフレーズはおそらく①法定順守ができない(飲酒運転)②酩酊状態で会議に出られる状況でない のどちらかだと思いますがまず①の飲酒運転の主張だと思います。
だとすれば「タクシーぶっ飛ばしてでも行く」という選択が庶民の思考。にも拘わらず遊興態勢を維持し続けたのは、ご本人の「執着」(お楽しみへの)以外他は無かったのかも知れません。
きっとすべて(災害と会議欠席への後ろ指)を軽く見ていたのでしょうね。
殿様は知事職ですので逐一避難警報発令から被害報告等はメールにて入電されていた筈で、それらを無視してまで継続し続けたい「お楽しみ」があったのでしょう。
その「フレーズ」は便利です、「出向かなくてもイイ理由」の一義ですから。そしてそれを聞いた時、そんな時「私にはその言訳は使えない」と思ったのです。
檀家さんで、もはや大抵の方々が「大澤寺は酒はからっきしダメ」を承知しているからです。
一昔前の町医者などもそうでしたが急患に備えて酒は控えめにしたものです。
私の法務は既に医師の手から離れた場合限定ではありますが、先方の希望があれば夜間であっても枕経に出向くというのが「礼」となります。
家族が亡くなったので来て欲しいといわれて「飲んじゃった」では礼を欠くことになります。それを一言で記せば「無礼」。
今回の知事の稚拙な発言は「無礼討ち」に値しますね。
私も自己管理が苦手な部類です。
飲酒の有無にかかわらず「行かなくてもイイ」という選択肢が最初から無いということは私にとって案外良かったと思ったところです。
さて、昨日は酒井忠次の宝塔を記しましたのでその続きを。
(ちなみに酒井氏の発祥はおそらく「坂井 境 堺」でしょうから元は「酒」ではなかったと思います)
塔のデカさは「タダものではない」と思ったことは昨日も記しましたが、「家紋」のパッと見では「葵紋」の様にも。
400年以上が経っていますので肉彫りも磨滅していますので見間違いも当然におこりえますね。
葵の御紋といえばご存知徳川家の家紋ですが、三つ葉葵はじめ将軍家限定家紋の風潮が強くなって他家はその使用を一部を除いて遠慮したものです。
よってブラッと歩いて「葵 ?」と見たら家系が殆ど限定されるということでさらに詳細を確認したくなるものです。
ところがこちら酒井忠次宝塔に記された家紋は「片喰(かたばみ)紋」。似ていますね、三つ葉葵と。
それもそのはず、松平家の三つ葉葵紋の発祥由来は酒井家にあるという説もあるほどです。
カタバミ~「片喰」の葉は噛むと酸っぱいので「酢漿草」とも書くことは家紋好きの方ならご承知と思いますが、このカタバミという植物の存在は現在の私たちの生活からは関りが薄いものですね。
そこいらにある雑草の如くの植物で、大輪の花を咲かすとか、美しく可憐な花という範疇にはない植物です。
尚、かつては「酢漿草」の通り真鍮仏具のお磨きに使用したとも聞きます。
ところがどっこい、このカタバミ~片喰、酢漿草~あるいはそれから派生した家紋を掲げる家は結構多いのです。
なぜにしてそのように地味な植物が持て囃されるのか・・・
もっと目出度そうなアイテム(松・竹・梅・桜)があるのにそれらを差し置いて・・・
私はそれこそ日本の文化というものがこの家紋選択の底流に流れていると思うのです。
ただただ地味ながら忍ぶように存在し、それでいて球根基本で根を下ろすと横に根を広げかつ成長力が旺盛、種子の放出の仕方も巧みで何よりも繁殖にかけては一流の植物です。
そこの「子孫繁栄」(家を代々に渡って残していく)にあやかったというところが家紋採用の第一義でしょう。
私はそれとは別に同様に日本の文化ともいえる「♡型」の紋としても大いに受け入れられたのではないかとも思っています。勿論この「♡」とは「猪目」の意味です。
そちらのリンク先にも以前片喰紋について記したものがありました。
ちなみに拙寺檀家さんの酒井一統は「剣片喰」です(下の画像)。
画像①②は昨日の使いまわし。③も何度か記している成瀬谷の成瀬藤蔵正義の墓。
④は「四季の山野草」より拝借しました「カタバミ」です。クローバー♧に似ています。
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野村幸一 (火曜日, 01 8月 2017 13:53)
酢漿草紋、好みのデザインです。どちらかといえば剣酢漿草のほうがかっこいいと個人的に思います。そう言えば、先日探索した大林寺の寺紋も酢漿草紋でした。開基の旗本岡野氏が酢漿草紋だからでしょうか。武士に人気があるのかな??
現代だと家紋というと冠婚葬祭とお墓くらいしか出てこないような気がしますけども、こんなに洗練されたデザインって世界に誇れる日本の文化だと思います!(鼻息荒いです)昔みたいな御家がどうだとかは関係なくもっと家紋をいろんな方面で日常的、気軽に使うようにしたらいいのにと思います。ので、私はiPhoneケースに家紋シールを貼ってます(^^)
今井 一光 (火曜日, 01 8月 2017 20:03)
ありがとうございます。
片喰紋採用(派生含む)の家の数が圧倒的多いことからその人気の大きさがわかります。
ご禁制の家紋(葵紋)があってそれによく似た片喰紋がその受け口となったこともあると思いますが、やはり日本の文化のDNAともいえる「猪目」それも「♡✖3」の構成とバランスが紋としてしっくりきますね。
寺社をうろついていたるところで目に入る「猪目」こそ日本が胸を張って自慢できる型だと思います。
殆どの日本人がそれを「ハート型」と理解し海外移入形式をイメージされる猪目ですがしっかりと片喰紋として大いに広がっていることでその古き日本人の思想に触れる事ができるというものです。そういうことから片喰♡こそ日本人を代表する紋章と考えます。