七条通の今一つの法橋の名 養源院 俵屋宗達

拙ブログでは日頃「火事の恐ろしさ」について記していますが、昨晩はGWが終わった5月7日に北九州市で発生したアパート火災について報じられていました。

強風注意報発令下の火災であっという間に火が広がったといいます。

 

こちらはアパートとは言いますが家賃は500円~/1日で殆ど簡易宿泊所の躰。

6名の方が亡くなっているそうですが当初はすべて身元に関しては把握できなかったとのこと。

 

当然に無届けの共同住宅であって消火設備の不備が指摘されていました。管理責任について刑事は当然ですが、民事についてはいったいどうなるのか興味が湧くところです。

もっともこういった施設は生活保護認定の「つなぎ」としてホームレス生活から貧困者を引っ張り上げる役割を担っていますので、必要といえば必要。

そして、その番組ではそちらで亡くなった人たちのこのアパートに住むことになった経緯と一部生活について取材していました。

 

「1日500円」の簡易共同住宅に入るそのきっかけですが・・・、

亡くなった方々は一同高齢者の独身でしたが、共通の不遇の人生に自身へ向かう厳しさを持っていたことが共通していました。

 

友人の連帯保証人となって6000万円の借金を背負ってから離婚して(家族への迷惑を回避するため)ホームレスとなって日雇い労働に従事し借金を完済後に入居した人、確固とした仕事に従事していたが疾病のために会社や周囲に惜しまれる中、退職して入居した人・・他の人たちも各「他者のために動く」(高齢者と病院まで同行するなど)という一面があったことが紹介されていました。

 

「自分に厳しく(たとえば借金を背負わされた方は自己破産の宣告の手段はとらずに完済した)他者につくす」という語、私は簡単には口にはできますが、その受け入れ方に「なんで~」と思うほど私にはできないことです。

もし私が彼のように他人の借金を肩代わりすることになったとしたら・・・「離婚して夜逃げ」の方が頭をよぎります。

破産しちまうのが一番ラクですからね。私でなくともそこは選択肢と思う方は多数だと思います。

 

話が飛びますが知り合いのバクチ好きの職人さん(こちらで紹介)は「破産宣告」で借りたサラ金の借金をチャラにしていますが、今も「金を貸す奴が悪い」と豪語しています。

ちなみにこの辺りの殆どの金貸し屋さんの門を叩いているようですが、最近は(身分証の検索をされて)「1発で拒絶される」とのことで今は地道に働くしかないようです。

 

火災によって非業の死を遂げた方々の「人生のほんの少し」を垣間見た思いでそれは衝撃的でした。

しかし皆さんの「我を捨てる」それぞれの生き方はまさに「法橋」。

「法鏡」という語は拙寺法話でよく使用させていだいている語(阿弥陀さまは私を映し出してくれる鏡)ですが、こちらは「橋」の方。

 

ブログでは七条通の七条仏所跡について記していましたが仏師「定朝」が授与された僧としての位階が「法橋」でした。

まぁこちらは名誉位階で勲章のようなものですが、私ども宗旨的にはその「橋」といえば源信さんの母親が歌った「世の橋」であり善導さんの記した「二河白道」を思います。

源信さんの母の諫言の歌は

「後の世を 渡す橋とぞ 思ひしに

            世渡る僧と なるぞ悲しき」

源信さんも善導さんも当流親鸞さんご指名の七高僧のうち。

正信偈にも登場される方々です。「二河白道」は映画「白い道」の「白」ですね。各お調べください。

 

さて、七条通には今一つ「法橋」位を授与された人の名が残ります。養源院にその人の作品が遺されています。

なかなか一般に広く知られていないようで少々残念な感がありますが、昨日の夕刊にピックアップされていました。

 

先般のバス遠足で京都国立周辺をぶらついた事をお知らせしていましたが、養源院(場所はこちら)はあまりにも超有名寺社の居並ぶ立地にあってなかなか目立ちにくいという難点がありますね。見どころとして「血天井」というおどろおどろしい名も一般客の「躊躇」を招いてしまうのかも知れませんが・・・

 

しかし、小粒のお寺ではありますが充実したお宝が揃っています。それがのちに「法橋」の位を授与された俵屋宗達の重文指定の襖12面に杉戸4面です。

 

俵屋宗達は国宝の「風神雷神図」でお馴染みの琳派の祖。

その人の作品があの養源院のお坊様の解説付きで拝観することができます。勿論上を見上げれば「血天井」も。

今回のフリータイムで入場した方もいらっしゃいました。

私が一番最初に訪れたのは勿論「天井」見たさでしたが・・・

 

画像①朱色の建物は三十三間堂。奥が南大門。

その向かい②~養源院。

皆さんは大抵その朱色の方の建物にこぞってまた観光バスで吸い込まれていきます。

 

俵屋宗達の白象図はどちらかで見たことがあるという方も多いかも知れません。以前、絵葉書を購入した思い出がありますが、今は所在不明。

探し出すのに数時間はかかるか紛失のどちらか。