先日の法要のあとのお斎でのこと。
お隣には故人の娘さんが座りました。私と殆ど同年代です。
その方の高校は新宿だったということで、新宿渋谷六本木はいわゆる「庭」の如く、闊歩したと仰っていました。
私だって学生時代はそういう時もありました。出歩く繁華街といえばやはり上記の通り。時期的にもブームが「湾岸に移った辺りでその手の遊びを卒業」というのも私と同様でした。
当時流行った今でいう死語ともなった「ディスコ」のことですね。
実在した店舗名などまで飛び出して、「もしかして声掛けたかも?」などと周囲の目を気にもせずに下世話な話で盛り上がりました。
「奥の墓道」は高校時代からずっと「ロックの道」でしたから私がこの手の「軟弱」な(彼の表現を借りると)曲について語ったりすれば回し蹴りを喰らうことになります。
しかし、私の方はといえば、かなり幅広いジャンルを聞きますので特にあの時代のヒット曲には馴染みも深く、今耳にしてもご機嫌な気分にさせてもらえるのです。
かつてブログでも記しましたがハリウッド映画については娯楽の少ない時代においてもっとも私たちの趣向を満たしたものです(ブログでは比較的新しい「マディソン郡の橋」について)。
私の好きな俳優の一人にイーストウッドに次いでアル パシーノがいますが、ディスコといえば「墓の道」ならぬ彼の「カリートの道」~Carlito's Wayを思い起こします。
この映画は私の好きな映画「ベスト3」に入るものですね。
1993年(ブライアン・デ・パルマ監督)の作品ですから学生時代というほど若くはありません。ということで上映時はしばし劇中の曲を懐かしんで聴いたものです(時として幾度となく見返しています)。
お話は刑務所から出所して堅気になろうと努力するも過去のレッテルを周囲から貼られて次々に起こる事件に否が応にも巻き込まれていくという流れですが、主人公はディスコ「パライソ」(ポルトガル語で天国=浄土ですね・・・)の店長という形で店を仕切り、バハマのパラダイス島でレンタカー屋を開業するという「夢」を持っていました。
ディスコの仕切り役ですから劇中曲は当然ノリノリの懐メロディスコソングのオンパレード。楽しくないワケがありません。
私の好きなシーンは映画の初めの白黒シーンと終わりのポイントとなる箇所でストレッチャーに乗せられた彼の虚ろな顔と台詞です。彼のテキトーな裁判所での語りも好きですが・・・
ストレッチャーに載せられたカリートからの視線を織り交ぜた画像は最も印象に残るものです。
スローモーションに無意味な天井の蛍光灯のシーンと狼狽える彼女と看護師と点滴と警官の情景ですがその中で彼の最期の言葉がつづられていきます。
また、ストレッチャーが段差に引っかかった振動で顔を歪ませるシーンなどはリアルでした。
これから自分が死ぬということを理解して意識の朦朧とする中での台詞は凄く印象的。
私が昨日初めてストレッチャーに載せられて病院の廊下を運ばれた際、これこそ「アル・パシーノ―カリートと同じ」と言っては苦笑(カリートは銃弾、私は結石・・・)されるでしょうが、その劇中での台詞が彷彿と思い浮かんでこれは凄い体験をしたものだと思ったのでした。
その台詞に、死する者とはその間際にそうも粋なことを思い浮かぶものかと感嘆もしたものです。
ストレッチャー上の台詞をかいつまんで記せば
「病院だけは勘弁してくれ」そして救急病院の悪口・・・
「悪いがオレはもうお終いだ どんな事をしてもたすからない。 慌てるなムダさ やっぱり行きつく先は109丁目の葬儀屋・・・」
そして「ラストオーダーの時間だ 」の語り。カッコいいですね。私もそれパクリたいものです。
バックに流れるJoe Cocker の「You Are So Beautiful 」(1975)はベストマッチなラブソングとしてその場面を引き立てていました。
というわけで私の「体験ストレッチャー」からつい飛躍して「カリート」の人生を思い浮かばせて語ってしまいました。
昨日の続報ですが月曜日に再診するという私の目論みは朝一の予約の段階で簡単に一蹴されたという件はお笑い草というかまたしてもここの病院のやれやれを痛感させられました。
まさに「痛感」です。
救急担当の看護師からその科は予約制になっているから「朝イチ電話してからにした方がイイ」とアドバイスを受けていました。その際は「前夜救急診療を受けたことを伝えれば考慮してくれるかも・・」とも。
よって月曜午前820に予約の電話を入れるとあっさりと診療拒否。いやはや「どんなことをしてもたすからない」と思いました。
「結石」に関しては放置されるという噂は聞いていましたがやはり冷たい対応です。
さすが聞きしに勝る榛原病院様、一筋縄ではいきません。
父母ともレジェンドを残していますが今度は私の番でした。
そもそもまだまともな診断など下されてないのですがね。他の病気で治療が遅れたとしても私の責任なのですね。
要は結石は「死にゃあしねぇから順番待っとけ、明日来な」ということなのですが、電話の向こうの声は若く溌剌とした看護師の声からして色々経験の浅さも推されることから、一瞬、世の中の酸いも甘いも噛み分ける齢ともなった私、カリートのお喋り上手と脅しのごとくこう言ったとしたらこの日に診察してもらえることは分かっていました。
しかし止めておきました。何ともお下劣ではしたないことですしね。
たとえば
「おい、姉ちゃんよぉ、今から救急車でそっちに向かうから、名前教えろや」の台詞です。
まぁ後からあそこのクソ坊主と後ろ指差されることは確実ですがね。
一瞬でもそれほど心を制御できないほどの苛立ちを感じたのでした。結石経験者ならばご理解いただけますでしょうか。
それでは感謝の言葉。ありがとう如来様、一瞬たりともキレかかった私を懺悔します。ごめんなさい。
そして、ありがとう救急看護師さん、そして何より電話で予約拒絶してくれた看護師さんと現状の榛原病院に感謝します。
この激痛に耐えて、日曜の朝に頂戴したたった1つの痛み止めのみで48時間(そんなタイトルの映画もありました)をすごす事ができますことに感謝します。
そういえば「痛みは無視する」というランボーの台詞も私の好きな言葉でしたね、思い出しました。我慢と忍耐を教えてくださって感謝します。私自身の痛みを知ることは他者の痛みを知る事。悶絶が続けば続くほど心が鍛えられる思いです。
この齢でさらに成長させてくださいました。
ハッキリ言って夜が怖い、しかし朝930には絶対病院に駆けつけて電話を受けていただき審判くださった受付のあなた様の御尊顔を拝する事を何よりの楽しみにしています。撥ねつけられて人は強くなるのですね。
ただただありのままの私の境遇を味あわせていただきます。
画像①が劇中のディスコ「El Paraiso」②③がストレッチャーからのカリート目線。駅の看板「Escape to Paradise」です。この看板は彼の大きな夢を一言で語っています。何より「日没」(終焉)の夕陽の美しさもイメージします。
最期にこの看板の絵が踊り出すというのがシャレていますがこれは確かな「生」へのバトンタッチが為された事を示唆しているのかとも思いました。
人はみなParaisoやParadise、天国に浄土を夢見て生きるのでしょうが、私も昔はカリートと同じ、沖縄にそれを抱いたものです。
とにかく私はこの痛みの恐怖から解放されることが当面のParaisoです。蛇足ですがYou Tube「You Are So Beautiful 」エンディングです。
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小山昭治 (火曜日, 02 9月 2014 08:45)
夢見るモノを持っていると言うことは幸せです。
まさしく 文字の通り:「you are so beautiful !!!!」
うらやましい。
今井一光 (火曜日, 02 9月 2014 20:29)
ありがとうございます。
多少は脱線していそうでも楽しい夢はいつまでもみなさんと一緒に追い続けたいですね。