古寺仏域としての笠置寺 圧巻の磨崖仏

「ここならテレビで数回見た」と息子の談。

最近何度か放映されて、隠れた名所として全国区に名乗りを挙げた笠置寺です。

 

 8月もお盆は過ぎたとはいうもののまだまだ絶好の季節です。にもかかわらず人っ子一人観光客とはすれ違わないというところがナイスですね

まぁここが観光客でごった返していたらハナから来ようなどとは思いませんでしたが。

 

 へろへろになって山門前まで上るとそこにはベンチと自販機。とりあえず冷茶を一気にあおってしばし休憩後境内へ。

大友皇子が「笠を置いた」断崖が名前の元になっただけに此処の見どころは勿論石塔類のお出迎えもありますが巨石断崖と磨崖仏です。

 

 ⑥はこちらのお寺の本尊で1300年前のものと言われています。高さ約16メートル、幅約15メートルの岩に彫られた「天人彫刻五十尺、弥勒磨崖仏」です。

 

磨崖仏前の礼堂が都合三回火災にあったため縁の線に黒い焦げ跡が残ります。当然に表面の繊細な彫刻部分も火力で崩落したそうです。

 

 今の磨崖仏の正月堂は室町時代に東大寺の僧によって再建されました。現在東大寺二月堂で「お水取り」が行われていますが、その第一回目がこちらの御堂だったといいます。

⑧正月堂は信貴山の朝護孫子寺ほどのスケールはありませんが崖に造営された「懸(かけ)造り」、先人の知恵と工夫がうかがえます。その先には圧巻の巨石菩薩レリーフが。



川勝政太郎氏の記述

「笠置寺虚空蔵石線刻摩崖仏 平安時代後期 花崗岩高約9m」花崗岩の壁面を二重光背式に彫り下げて内部を平にし、そこに太い彫線をもって彫刻した仏像図様である。池中から生じた蓮華の茎に豊麗な宝相華様の唐草をまつわらせ、その上に連座を作る。尊像は宝相華文を刻む宝冠を頂き、瓔珞を胸に飾り右手をあげて指頭を捻じ、左手を膝上にのべる結跏趺坐の像 寺伝では虚空蔵というが、如来のように持物を持たず、宝冠、瓔珞を加えて菩薩形にしている点から弥勒菩薩と思われる。線刻の花崗岩摩崖仏としては全国一の傑作といえよう。」