静岡は駿河区丸子の誓願寺さんの片桐且元の墓の由はお伝えした通りですが(場所はここ)、こちらのお寺から静岡方面に1㎞程度上ったあたり、旧東海道とバイパスが分かれる地点に「体験工房駿府匠宿」という施設があります。
陶芸や竹細工、木製品など静岡の伝統工芸品の体験工房、そして品物と静岡名産品の販売を行っていますが、比較的地元マスコミなどでも紹介される頻度が高い場所でもあります。
こちらの谷あいには今川家臣団斉藤氏の丸子城(まりこ 鞠子城)根古屋、屋敷跡があったといわれています。
今川氏親時代というか幼少期の龍王丸の頃に、父今川義忠が塩買坂で不慮の死を遂げたあとこの城に居たとも云われています。
後に氏親は安倍川という大外堀のさらに西の街道筋の丘陵地帯にあるこの城を駿府防衛の要としました。
城は駿府匠宿と誓願寺の丁度間の山にあたります。
どちらからでも登城OKです。私は2度とも匠宿とセットでの登城でした。
城は永禄十一年(1568)に武田信玄による駿府侵攻により今川勢は駆逐されて城代として山県昌景が入っています。
理由もへったくりも何もない根拠レスのお話ですが、私はこの山県昌景には相性が悪いのか、彼人に関わる場所に立ち入った時は何故か酷い頭痛腹痛に襲われます。
偶然なのでしょうがジンクスともいいますね。
この日も帰り際に頭痛がして即座に痛み止めをペッボトルのお茶で飲んだほどです。
だいたい朝起きてから数日前に転んで打った膝の痛みに対する「逆療法」としてこの山に立ち入ったのですが、体調はまったく不完全だったこともありますね。
そんなことは承知しておりますので頭痛薬を持参しての登頂はもちろんのことでした。
体を動かしていることもあり効き目はスグ現われますので今回はどうって事はありませんでした。
ちなみにジンクスの最初は長篠(設楽ヶ原)の山県昌景と昌次、高坂弾正系と推察される高坂某の墓たちが佇む森の中で墓を発見した喜びから「奥の墓道」と思わずハシャギ過ぎたあと、謎の偏頭痛に襲われ、薬屋に掛けこんで痛み止めを飲んでもまったく効かずにのた打ち回った経験が最初です。
しかし常識的に考えれば、ヘビースモーカーの「墓道」から吐かれた「ニコチン息」が密閉された車の中に充満して私が「中毒」を起こしたというのが医学的な説明の仕方でしょう。
とにかく彼を助手席に載せて遠乗りする時はロキソニン、ナロンエース、バッファリンのお世話になること、殊に多くなります。
まぁ山県云々の話はちょっと考え過ぎ、こじ付けの類の笑い話でしょう。
しかし「墓道」の主張は「とんだ濡れ衣」だそうです。
「三方ケ原で蹴散らした兄の成瀬藤蔵、以前まで武田方にあって川中島で討ち取られた諸角の首を取り返すなど功名あるその弟が、今度は敵陣防御柵の真ん前に突っ立ち、鉄砲隊の指揮(旗差の選別)をしている姿を見れば、誰だって頭に来るだろう。
ましてやその鉄砲に撃たれての討死だ。それら成瀬の傍流とはいえ、お前がノコノコ墓前にやってきて調子に乗っている姿を見せれば墓の下からでも呪うだろうよ」とのこと。
私はその手の話は「ヨタ話の類」としてまったく信じずに一笑に付していますが・・・。もっとも当初墓前で不謹慎な冗談を言ったことは確かです。
小さくてかわいい五輪塔を見て、捨てネコでも拾って愛でるように、「連れて帰りたくなっちまう」と言って石の頭を撫でたのがいけないのだと彼は今でもそう言い張っています。
さて、丸子城は、前述の通り斉藤時代、今川氏親以降、武田時代とに分かれますが、主に遺構として残存しているのは斉藤・今川の「北城」と武田の「南城」です。
双方とも同じ尾根上のもので、武田方の城となってから北城の二の丸的曲輪を開削して平坦地を作り「南城」の本丸としたものと思います。ざっと見て南は北の3倍以上は広さがあります。
静岡の城らしく比高標高(100・136)ともそう高くはありませんが戦国の著名な人間が関わった城でもあり、何よりも遺構が良く残存して見応えは十分です。
特に城の西から北側の空堀と櫓等のあったことを思わせる小曲輪、各曲輪を囲む土塁、虎口、堀切に土橋そして竪堀など目視してよくわかる残存具合はうれしい限りです。
画像②は匠宿。こちらからの登城は道幅が狭いので路駐等不可。
匠宿の有料駐車場に入れるしかありません(410円)。
⑤が丸子城中腹から見た北側の谷の集落。匠宿のさらに奥ということになります。
そちらからあがって北曲輪―北城の本曲輪―画像⑧そして堀切を超えて次に現われる曲輪が南城(武田時代)のものになります来た方向を振り返った図⑨ですが土塁・虎口がハッキリとわかります。そのスグ南側の虎口から街道方向に袖曲輪⑩が下方向に段々と伸びています。
静岡市の中心部から離れた山間のイメージの強い丸子ですので(ヤマイモが名物)散歩道や観光として散策する人が入っていず、うまい具合に遺構が荒らされずに残っています。
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