私はまだその手の優しさをまだ味わう齢には達していませんし、その言の葉を投げかけてくれる幼き者の存在すらありませんが・・・
「いつまでも元気に長生き」
その言葉は実は相当重たいものであって、ハッキリ言ってしまえば相当矛盾していて、絶対実現困難といってもいいテーマなのでした。もっともその言葉を耳にする機会にそのように思い返したとしても口に出す勇気はありませんし、そんな「お説教」をしても「空気を読まないタダの憎まれ口」程度にしかとられないでしょうね。
「いつ死ぬか・・・ 今でしょ!」ばりに流行り言葉を交えて言えばまさにその憎まれ口が真実の姿なのかも知れません。
日本人が古くからその精神に触れていた「武士道」世界にもそのような感覚がありますが、これはよく言われる「まさか」の「坂」を転げかねない危うい日々を生き、御文でも「当時このごろことのほかに疫癘~えきれい~とてひと死去す」(疫癘の御文)の如く、いつ病気になってその時を迎えるかわからない、「朝~あした~には紅顔あって、夕~ゆうべ~には白骨の身となれり」(白骨の御文)のように、無常で儚い命の運営を元々任されているのがこの「私の人生」である等と示唆されています。
与えられた命の期間というものが生れた時に既に決まっている中(仏教における定命~じょうみょう~)、それに「長生き」という科学的な医療の+αがあったとしても、「老化と病気の発生」という構図はどうしてもついてまわることは明らかで「長生き」=「幸せな老後」という風にはならないのです。
そういう中、少しでも健全な老年をすごしたい、そしてたとえ病気をしても健康な時と変わらないような生活を送りたいと考えるのが「quality of life、QOL」ですね。
昭和56年に「悪性新生物」(癌)が日本人の死亡原因の一位となって以来、昨年のデータで年間36万人、3人に1人の割合で罹患している病です。部位で言えば胃・肺・大腸・肝臓の順、女性特化のものも後に続きます。
他にも糖尿病、それに起因する心疾患や脳卒中など老化に伴う病気のオンパレードがありますが、今春のテーマは「がん」。
私の存じあげる中、その病を克服すべく一所懸命に「気張っている」方々はたくさんおられます。殆どそれは恰も長らく病と付き合って「共存」しているようでもあります。
そうですね、「がん」は珍しくもない病気ですし、その病を発見したときの当人の心構えと周囲のケアもまた肝心なのでした。
そういうことから「がん」にかかわる情報を今一度ご門徒さんに復習していただこうと、NHK厚生文化事業団発行の「がん患者のための体と心の緩和ケア」(監修 的場元弘氏)という冊子を年初ご挨拶のカレンダーと一緒に配布させていただきました。
上記事業団のご厚意ご協力のたまものです。
何と言っても家族5人いれば確実に1人は罹患しても不思議の無い病気です。
この冊子に「まったく関係が無い」と豪語できる方は皆無であろうと思いました。よって躊躇なく配布ということに(限定200册でしたが)。
何より「がん」という病気にのみ限らず、あらゆる心の不安を抱える状況にもそういったケアは有効であると考えました。
何事にも「ほんわかとやさしい気持ち」をもって接することができればいいですね。
以下サイトにはこれら主旨にのっとった情報を発信していますので参考まで。
★がん情報サービス(国立がん研究センター)
http://ganjoho.jp/public/index.html
★がんの痛みネット
http://www.itaminai.net/mitigable/
★緩和ケア.ネット
★がん情報サイト
http://cancerinfo.tri-kobe.org/
★日本ホスピス緩和ケア協会
★日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団
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